井崎英典 Hidenori Izaki BARISTA

ABOUT BARISTA

『珈琲と井崎英典』

〜コーヒーの世界と出会いを綴るストーリー〜
第1回「オヤジの背中」

 

 

福岡でコーヒー屋を経営するオヤジに
「英典、将来どうするとや?ウチで働くや?」と言われたことが、
この世界に入ったきっかけです。何とも後ろ向きな響きがあると思いますが、これが事実です。高校を中退して、フラフラしていた自分にオヤジが一言かけてくれたから、これがきっかけでした。

 

オヤジは筋金入りの変態です。様々な伝説を持つオヤジですが、元は塾の経営をやっていたくせに、全くと言って良いほど「勉強せんかい!」と言いませんでしたし、何をしても怒った試しがない。その代わり「自分のケツは自分で拭け」という主義でした。そんなオヤジにケツを拭いてもらったから、今の自分がある訳です。

 

幼い時は、子ども心にコーヒーって大変な仕事なんだな、と思っていました。オヤジもオフクロも、休みなく毎日夜遅くまで仕事をしていましたから。当然、旅行とか小遣いなんてものはありませんでした。

 

あるクリスマスなんか、ワクワクしながら枕元の靴下を覗くと、プレゼントが入っていないんですよ。その代わり、カードが入ってて、「ウチは仏教徒なのでクリスマスプレゼントはありません」って書かれてましたから。そんなユーモアある家庭で育ちました。

 

通常の家庭なら夏といえば、冷蔵庫には麦茶でも入っていると思いますが、井崎家では水出しコーヒーが入っていましたからね。夕食の後は、緑茶ではなくコーヒー。それくらいコーヒーは身近なものでした。

 

それはさておき、そんなこんなで、高校を中退した僕にとって、残された選択肢は「コーヒー」しかありませんでした。進んでコーヒーを選んだ訳ではなく、この選択肢しか残されていなかったのです。